昨今では新NISAによって今まで投資に興味がなかった人でも投資を始めるというのをよく聞くようになりました。
投資といってもいくつか種類がありますが、今回は自分が主にやっているFXについて書いていきます。そのうち他のものも書くかもしれません。
FXとは
FXは外国為替証拠金取引(Foregin Exchange)のことです。日本ではFXと言うのが一般的ですが、海外ではForexと呼ばれることが多いです。
FXは投資なのか
FXは一部では投資として扱われている節がありますが、実際にはほぼ投機です。投資は長期的に資金を投じて利益を得ること、投機は短期的な価格変動を狙って利益を得ることと言われます。
例えば株は株式会社が発行しますが、株を買うということはその会社に資金を投じて会社の成長を支援し、結果として株価が上がることを期待します。どのぐらいの期間が長期的なのか短期的なのかは人によるので一概には言えませんが、何年も保有する場合は投資と言えるでしょう。逆にデイトレやスイングトレードは何年も持つわけではないので投機だと思います。
FXにおいては長期保有することによって利益を得る方法は限られている上に薄利なので、ほとんどの人がFXをやる場合は投機になるでしょう。
また、株はプラスサムゲームなので株価が上がり続けることが可能なため長期保有によって利益を得ることがFXに比べると容易です。一方FXはゼロサムゲームなので通貨が上がり続けるということがないため長期保有するメリットが薄いです。
投資をしたいなら株をやるべきで、FXはやらないほうがいいでしょう。
FXは少額からでも始められる
株式投資などに比べるとその通りです。なぜならば、株式投資は現物だと最低でも株価 x 単元株分の資金が必要になります。1株1000円で単元株が100株の場合、最低10万円の資金が必要になります。
FXではレバレッジというものがあり、国内だと資金の25倍までの取引が可能です。為替の状況にもよりますが、USDJPYであれば約5万円から6万円あれば1万USD分の取引が可能です。国内業者であれば1000通貨からポジションを取れるので、約6千円あればFXが始められます。株式の信用取引では3.3倍までということを考えれば圧倒的に少額で始められます。
ということから、余剰資金の少ない人ほどFXから始めようとするのですが、基本的に少額で始めるのはおすすめしません。
いくらレバレッジが効くとはいえ、少額だとレバレッジを押さえれば利益が少なくなりますし、逆に最大のレバレッジをかけた取引では少しの値動きで強制ロスカットされる可能性が高くなるためリスクが高すぎるからです。
少額から始める場合であっても、利益が少なくなることを容認したうえで後述する実効レバレッジを抑えて取引することを考えるべきです。
FXのレバレッジは高ければ高いほうがいい
FXのレバレッジには最大レバレッジと実効レバレッジという概念があります。先の国内業者のレバレッジ25倍は最大レバレッジです。実効レバレッジはポジションや証拠金によって変動します。
USDJPYが150円として約6万円で1万通貨のポジションが取れます。この場合、実効レバレッジは 150 x 10,000 / 60,000 = 25
で25倍です。USDJPYが1円下がるごとに1万円マイナスになるためUSDJPYが6円下がるとでゼロになります。実際には業者によって強制ロスカットの割合が決められており、国内だと低いところで50%ぐらいなので、大体USDJPYが3円下がったところで強制ロスカットされるでしょう。
同じ条件で、今度は1,000通貨取ることにしたとすると、実効レバレッジは 150 x 1,000 / 60,000 = 2.5
で2.5倍になります。この場合、USDJPYが1円下がるごとに1,000円マイナスになるので、この場合はUSDJPYが30円下がるまで強制ロスカットされません。
世間的にはレバレッジが高いとリスクが高い!ギャンブルだ!と言われます。これは最大レバレッジ = 実効レバレッジとなるポジションを取ればそうですが、実効レバレッジを低く押さえればそうではありません。むしろ最大レバレッジが高ければ資金効率が高まるため、最大レバレッジは高ければ高いほうがいいです。
例えば、前述の例にそってUSDJPYの1万通貨のポジションを取る場合、資金が約60万円あれば実効レバレッジ2.5倍になって30円の下落まで耐えられます。また、実際に証拠金として必要なのは約6万円なので、USDJPYが3円下がって強制ロスカットするまでは余っている54万円を別のこと、例えば株を買ったりしていてもいいわけです。強制ロスカットされそうになったらその資金を証拠金として入金すればいいということになります。しかし、仮に最大レバレッジが2.5倍だった場合はすべての資金が証拠金としてロックされるため他のことに使ったりできません。これが最大レバレッジが高ければ高いほうがいい理由です。
FXのスワップポイントについて
FXにはスワップポイントというものがあります。これはポジションを翌日に持ち越すタイミングで付与されるもので、業者ごとに違います。例えばUSDJPYを1万通貨持ち越すと、200円分のスワップポイントがもらえるといった感じです。
相場が一方方向に動く場合、スワップポイント狙いでポジションを持てば不労所得なのでは?と考えるかもしれません。ですがこれはおすすめできません。
USDJPY1万通貨で1日200円のスワップポイントがもらえるとしても、1万通貨は1円下がると1万円のマイナスになります。この下がった分をスワップポイントで稼ごうと思うと50日かかります。
最近の話だとUSDJPYが約160円ぐらいまで上がりましたが、この記事を書いている時点では約145円です。仮に十分な証拠金を持って159円で1万通貨のポジションを取っていたとすると、約14万円マイナスになっています。さて、1日200円のスワップポイントで14万円を稼ぐにはどれだけ日数がかかるでしょうか。
こういった負う可能性のあるリスク(=損失)に対してリワード(=利益)が釣り合っていないことを「リスクリワードが合っていない」と言ったりします。
というわけで、基本片建てでのスワップポイント狙いはおすすめしません。1
FXで損失が出たとき
「取り戻す」という思考は非常に危険なので捨てましょう。これは破滅の道へ進むための合言葉です。取り戻しません絶対に。
これは取り戻そうとするとリスクを取りすぎてしまう、というのもありますが、もっと明確な理由もあります。
例えば10の資金を持っていたとします。ここで1の損失を出すと、資金は9になります。損失率は 1 / 10 で10%です。
次に、資金9から10に戻すためには、資金9で1の利益を出す必要があります。必要な利益率は 1 / 9 で約11.1%になります。10%の損失を取り戻すためには11.1%の利益を出す必要があるわけです。損失が20%だと25%の利益が必要になります。損失が大きくなればもっと乖離していきます。
取り戻すのはやめよう。
結局FXは儲かるのか
基本儲からないと思ったほうがいいです。
FXはゼロサムゲームかつスプレッドという業者側の手数料もあるため、トレーダーにとっては実質マイナスサムゲームです。
それでも継続的に利益を上げる人はいますが、それは努力をしている、才能がある、もしくは利益を上げる仕組みが構築できている人でしょう。
FXに限らないですが、絶対儲かるという話はまぁ詐欺だし、SNSで爆益と言って画像を上げてるのも見ますが、あれは簡単に作れるので信憑性がないです。
どの投資でもそうですが、簡単に儲かるという方法が広がれば、それは儲からない方法になってしまうので赤の他人に教えるなんてことはしません。
また、こうすれば儲かるんじゃないか?というアイデアが浮かぶことがあると思います。FX始めたばかりの人が思うそれは99.999%誰かがすでにやっていて儲からなかったアイデアです。あなたは天才ではない。過信をやめよう。やるなら少額で検証しよう。大体損して終わる。
それでもFXで儲けるには
仕組みで儲けるのが一番だと考えています。仕組みで儲けるというのはどういうことかというと、下記の記事のようなことです。
https://pasokon.blog/articles/2024-03-17-evolve-markets/
ソフトウェアエンジニアは他業種と比べてこういった、仕組みで勝つ方法を構築できる可能性が比較的高いと思います。みんなソフトウェアエンジニアになりましょう。
同じ土俵に立たず、自分の土俵で勝負し、丁半博打をやめ、儲けるべくして儲けましょう。
余談
「FX戦士くるみちゃん」というFXを題材にした漫画があります。FXのあるあるや、ありそうな話が多くて面白いのでぜひ読んでみてください。絵柄はかわいい系ですが、話は基本重めです。ギャップがすごい。
FX戦士くるみちゃん 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ) www.amazon.co.jp
USDHKDのようなペッグされている通貨ならアリかもしれませんが、スイスフランショックのようなことが今後ないとは言い切れないので。。。 ↩︎